【アレルギー体質の方必見】腸内細菌でアレルギーを抑制する腸活とは

アレルギーや炎症は免疫系の異常な亢進(高い度合いまで進むこと)によって引き起こされることをご存知でしょうか。通常、私たちの体はウィルスや細菌その他の異物から体を守る免疫システムが正常に働かなければ生きていけません。しかし、免疫機能が異常に亢進するとアレルギーや炎症、さらにはリウマチなどの自己免疫疾患をもたらします。

つまり、免疫系の活性化と抑制のバランスが上手く保たれる必要があるのです。そして様々な研究から腸内細菌はこの免疫系の活性化と制御の両方に関わっていることが解ってきました。従って腸内細菌を上手くコントロールして免疫系の制御を高めればアレルギーや炎症が改善されることが期待できます。

今回は、慢性的なアレルギーや炎症を改善するようにみちびく腸活方法について述べたいと思います。

腸内細菌は免疫系に関わっている

腸は「腸管免疫」とも呼ばれる巨大な免疫器官でもあります。「なぜ腸が免疫機能を持っているの?」と疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、腸は口と肛門を介して外界と接しています。そのためウィルスや異物の侵入を防いで体を守る必要があるのです。

この腸管免疫で重要な役割を果たしているのが腸内細菌です。腸内細菌が抗体(侵入してきた病原体や異物にくっついてそれを無力化するように働く免疫物質)の産生に関与していたり、免疫細胞の活性化に関わっていたりすることが解っています。

さらに免疫システムには必要以上に異物に反応しないように「免疫を制御するシステム」も存在します。この免疫系の制御にも腸内細菌は関与しています。様々な研究から、無菌状態で飼育された(腸内細菌を持たない)マウスは免疫系に異常があると報告されています。無菌マウスは腸粘膜のバリア機能が低下していたり、抗体の数が少なかったり、アレルギーや炎症を引き起こしやすい状態だったりするようです。(参照元:ライフサイエンス 領域融合レビュー「腸内細菌と腸管免疫 」

このように腸内細菌が免疫系と深く関わっていることは解っているのですが、その詳しいメカニズムまでは解明が進んでいません。免疫系を活発にする腸内細菌の菌種、免疫系を制御する腸内細菌の菌種がいくつか特定されており、これらのバランスによって免疫機能が保たれているのではないかと考えられています。

菌種による免疫系への作用が全て解明されれば腸内細菌のカクテル(特定の腸内細菌を培養してカプセルに詰めたもの)を飲むことでアレルギーや炎症を治療する日が来るかもしれません。

アレルギー患者数は年々増えている

厚生労働省が公表している「平成28年アレルギー疾患の現状等」によると喘息・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎・結膜炎といったアレルギー疾患を持つ患者数は急速に増加しており、約2人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っているといわれています。

引用元:厚生労働省 「平成28年アレルギー疾患の現状等」

これだけ多くの人が悩んでいるアレルギーを腸活によって改善する方法について紹介しましょう。

一部の腸内細菌が遺伝子を操作して炎症やアレルギーを抑えている

理化学研究所が発表した「腸内細菌が作る酪酸が制御性T細胞への分化誘導のカギ」によると、ある腸内細菌群(クロストリジウム目)が産生する「酪酸(らくさん)」が遺伝子に働きかけて制御性免疫細胞の成長を促進しているということが明らかになりました。

つまり一部の腸内細菌が遺伝子を操作して免疫系を制御し、炎症やアレルギーを抑制しているのです。

ここで注目されるクロストリジウム目という腸内細菌群は「酪酸菌」に分類され、誰の腸内にも生息するメジャーなグループです。従って、クロストリジウム目の働きを活発にすれば産生される酪酸が増えてアレルギーの抑制につながることが期待できます。

アレルギーを抑制するスイッチをオンにする具体的な方法とは?

クロストリジウム目の働きを活発にしてアレルギー抑制のスイッチをオンにするには、やはりクロストリジウム目の「十分なエサ」を食事などから摂取することです。

腸内細菌のエサについてはコチラ⇓

クロストリジウム目の好物は水溶性食物繊維

クロストリジウム目が産生する酪酸は、実は水溶性食物繊維が代謝されてつくられたものです。従って水溶性食物繊維が不足していると十分な酪酸が生産されないことになります。意識して水溶性食物繊維を摂りましょう。

食物繊維には水に溶けにくい不溶性食物繊維と水に溶けやすい水溶性食物繊維が存在します。

・不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は成熟した野菜、豆類、いも類、きのこ類に多く含まれます。腸内で水分を吸収して膨らむため便秘を改善する効果があります。

・水溶性食物繊維

水溶性食物繊維はネバネバしているもの、サラサラしているものがあります。腹持ちが良く、血糖値の急激な上昇を抑えるためダイエットにも最適です。具体的に水溶性食物繊維を豊富に含む食品として以下のようなものがあります。

海藻類(もずく、わかめ、昆布、ひじき、寒天など)

果物類(バナナ、りんご、かき、もも、いちご、レモンなど)

野菜類(オクラ、モロヘイヤ、春菊、アボカド、ゴボウなど)

豆類(納豆、きな粉)

水溶性食物繊維を豊富に含む食品は決して珍しい食べ物ではなく、和食を心がければ摂取できるものばかりです。これらの水溶性食物繊維が豊富な食品を毎食1品目は食べるようにしましょう。また、「果物類は高くて毎日買えない」「フルーツが好きでない…」という方はドライフルーツを利用すれば効率よく手軽に水溶性食物繊維を摂取することが可能です。

水溶性食物繊維は不足している!

厚生労働省が公表している日本人の食事摂取基準2015 年版によると、日本人の食物繊維の食事摂取基準は以下の通りです。

引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)概要」

そして厚生労働省が実施した「平成28年国民健康・栄養調査」によると食物繊維の摂取量は全体的に不足しており、中でも水溶性食物繊維がいずれの年代においても不足していることがわかります。

先に示したアレルギー疾患が増えている背景に、このような水溶性食物繊維の不足があると考えられます。

酪酸菌そのものを摂取する

過剰なアレルギー反応を起こしたり、慢性的に炎症が続いている場合は、腸内に生息するクロストリジウム目の腸内細菌数が少ない可能性があります。

その場合はクロストリジウム目を含む酪酸菌そのもの(プロバイオティクス)を摂取する必要があります。酪酸はバター等から摂取することも可能ではありますが、酪酸菌のサプリメントや医薬品を服用する方法もあります。実は酪酸菌のプロバイオティクスは病院で処方してもらうことも可能です。

水溶性食物繊維でエサを与えつつ、酪酸菌そのものを外から摂取することでより効果的に酪酸の生産量が増えることが期待できます。

まとめ

アレルギーは薬によって症状を緩和することは可能ですが、完治するのは非常に難しい病気です。また抗アレルギー薬は副作用があり、継続して服用するのはお勧めできません。根本治療を目指すのであれば食生活を見直し腸活を始めることが重要といえます。

「アレルギーは体質だから仕方ない…」などと諦めずに酪酸菌を元気にする腸活を始めてみてはいかがでしょうか。水溶性食物繊維を意識して摂取し、必要に応じて酪酸菌のプロバイオティクスも併用しながら酪酸を増やして免疫機能のバランスを改善していきましょう。

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